2017年1月15日日曜日

第9 明治32年の薬剤師国家試験問題

薬学昔むかし
薬学雑誌208号620-625(1899)

当時試験は年2回大阪と東京で行われた。
学科試験は5科目。6月8,9日東京での試験問題は以下のとおり。難しいのか簡単なのかよくわからない。合格率からすると難関である。

物理学 
 (1)物の重さは地面下に降るに従いて減却し地球中心にありては零なりといふ其理如何。
 (2)大気中の水蒸気の多少を検定する法
化学 
 (1)明礬の種類,製法ならびに性状 
 (2)アルコールの通性
生薬学 
 (1)安息香 
 (2)耶僕蘭日葉
植物学 
 (1)植物の蒸発器とは何ぞや 
 (2)十字科植物の特徴
製薬化学 
 (1)過マンガン酸カリの製法,性状,鑑識 
 (2)蟻酸の製法,性状,鑑識
133名出願、欠席20,途中退席14,試験完了99名。合格者18名。

この18名に加えて実地試験出願者11名で、6/14から4日間の2次試験が行われた。
 分析術 (担当、丹波)、
 薬品鑑定 (下山)、
 薬物精錬 (高橋),
 調剤術 (山田)、
志願者29名で途中退席2名,合格者16名。

一方、大阪の学科試験は6/1,2。
71人出願,合格15名。
物理学 
 (1)遠心力とは何ぞや
 (2)飽和蒸気の張力と温度の関係如何
化学 
 (1)砒素の検出法、アンチモニウムとの区別 
 (2)アルデヒッドの通性
生薬学 
 (1)攝涅瓦根
 (2)苦扁桃
植物学 
 (1)根と茎との区別および根の種類 
 (2)橙科の通徴およびこの科に属する薬用植物
製薬化学 
 (1) 金硫黄の製法に何種ありや,および其の方法の大要を問ふ 
 (2)斯篤利幾尼涅(strichinine)を香木鼈より製するの法如何

実地試験はなんと6日間、実地からの参加者11名を加え26名受験。
合格者16名の名簿には,士族,平民の区別がある。

薬学雑誌での関連記事は、
19号 第1回医術開業試験 浅草本願寺にて
27号 東京薬学校開校式
38号 p424 薬舗試験 (11-29号には薬舗試験なし)
49号 p135 明治19年東京医術開業試験
50号 p180 薬舗試験
95号 薬舗試験

明7年 医制 公布
明8年 京都における薬舗主試験で薬剤師第1号 山崎・薬と日本人 p81
明16年(1883) 医師免許規則及医術開業試験規則 発布
明22年(1889) 「薬剤師試験規則」公布。 薬舗主から薬剤師へ改称(前年から薬剤師会が各地で設立される)。

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