2017年5月1日月曜日

医薬品売上ランキング 2017年版



2016年1~12月までのブロックバスターの数字を挙げる。
単位は百万ドル。xx億円と考えてよい。

一位は昨年からさらに数字を伸ばし首位をキープしたヒュミラ。
他のリウマチ剤と比べてそれほど差があるのだろうか。
エンブレルは売り上げがそれほど変わらないが、他が落ちて4位から2位に躍進。
4位もレミケードであることを考えると、リウマチ領域のニーズの強さが際立つ。
レミケードは1998年に承認、登場したキメラ抗体、時代はヒト化抗体、ヒト抗体となり、バイオシミラーも出てきたのに、この位置をキープするのは立派である。

3位のハーボニーは34%減、ヒュミラと首位を争った昨年から後退。
おなじC型肝炎治療薬のソバルディも24%減、患者が治ってしまうので、売り上げが減る。少々薬価が高くてもありがたい薬である。ギリアド社は19位のHIV薬ツルバダも持っている。
国際医薬品情報(2017.4.10, 2016.5.9)の数字をもとに再構成
PfizerのワクチンPrevnerは入っていない。JanuviaにはJanumet含まず。Roche、Boehlinger製品の数字は各社ホームページから採用した。

5位リツキサン、7位アバスチン、8位ハーセプチンはロシュの抗がん剤。一般名語尾からわかるとおり、いずれも抗体で、ベストテンの常連である。ロシュは抗がん剤が2013年に全製品売上げの69%を占め、以後もこの領域に圧倒的強みを持つ。

6位のレブラミドは、サリドマイドの誘導体である(名前が似ているでしょ)。サリドマイドが胎児期の四肢形成、血管新生を阻害することから抗がん剤として開発しようとしたのがセルジーン社。(『セレンディピティと近代医学』)
その後、多発性骨髄腫で最も効果が高いことがわかり、血管新生抑制作用で説明できなくなってしまった。セルジーンがサリドマイドより副作用の少ないものを探して得られたものが本剤である。13位、9位、6位と着実に伸びている。

9位ランタスはインスリンのアミノ酸配列を少し変えて結晶しやすくし、持続性を持たせた誘導体。サノフィが開発した。
この分野は、リリーが世界初の組換えヒトインスリン、続くインスリン誘導体のヒューマログを開発してリーダーだった。抜かれてしまったリリーは、特許が切れたランタスのバイオシミラーを2015年に発売しているが、そちらはどのくらい売れているのだろう。

10位ザレルトは低分子、成人病対象の薬であるが、バイオ医薬全盛の今、ベストテンに入るのは大健闘である。
13位、小野が創生したオプジーボは昨年比4.7倍、驚異の伸びである。
20位のクレストールも2016年に特許が切れ、38%減。低分子薬はバイオ医薬と比べると特許が切れたときの落ち込みが激しい。


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