2017年7月15日土曜日

製薬企業売上ランキング 2017年版 

千駄木菜園 総目次


2016年1~12月の売上高ランキングをまとめた。
大体決算が2017年2月頃までに各社HPに出るから、それを集計する。

しかしこれが結構面倒で、まずドルに統一しなくてはならない。Bayerなど欧州企業はAnnual Reportを英語で出してくれるが数字はユーロである。

それから医薬品だけを選ぶ。つまり先発品、ジェネリック、ワクチンである。OTCや診断薬は入らない。例えばジョンソン&ジョンソンなどは、バンドエイド、リステリンや、コンタクトレンズまであって、総売り上げは71,890ドル(2016)もある。バイエルもモンサント買収で知られるように農業関連のほうが多くて51,733ドルもある。

そんなことで、雑誌『国際医薬品情報』2017年、2016年の数字を拝借した。
単位は百万ドルだから億円と考えてよい。
ファイザーなら482億ドル、4兆8259億円、ということだ。

為替換算は年間平均レート。
為替は、換算に影響し、ときに順位にも効いてくるが、リアルな世界でも医薬品は世界販売するため、売り上げ高にもろに効いてくる。だからあまり細かい数字の変動は気にしないほうがいい。

参考までにネット上にあった2015年度に関してはユートブレーン(永江研太郎氏)の数字を合わせて乗せた。
同じ資料を見ているはずだから、ドルで出るメルクやジョンソン&ジョンソン、ギリアドなどは同じだが、アメリカ以外の企業に関してはどういう換算レートを使うかで数字が違う。

2016 2015 2015UB
ファイザー 米    48,259 1 44,950 1 44,547 1
ノバルティス 瑞 42,706 2 39,602 3 43,415 2
ロシュ 瑞 39,689 3 38,824 4 41,071 3
メルク 米 35,151 4 34,782 5 34,782 5
サノフィ 仏   33,753 5 41,265 2 34,804 4
ジョンソン&J 米  33,464 6 31,430 7 31,430 7
ギリアド・S米  30,390 7 32,639 6 32,639 6
GSK 英  28,793 8 27,251 8 27,754 8
アッヴィ 米  25,638 9 22,859 10 22,859 10
アストラゼネカ 英  23,002 10 23,641 9 24,708 9
アムジェン 米    22,991 11 21,662 11 21,662 11
テバ製薬 以 22,664 12 17,884 12 17,884 12
BMS 米 19,427 13 16,560 14 16,560 14
バイエル 独 18,177 14 15,257 16 15,925 16
E・リリー 米    18,064 15 16,788 13 16,778 13
ノボ・ノル 丁 16,655 16 16,081 15 16,049 15
武田 14,450 17 14,456 17 13,681 17
アラガン愛 12,885 18 11,321 19 11,080 20
アステラス 日   12,102 19 11,235 20 11,391 19
ベーリンガー・I 独  11,877 20 13,424 18 13,227 18
セルジーン 米   11,185 21 9,256 23 9,256 23
バイオジェン 米  11,133 22 10,764 21 10,764 21
マイラン  オ  10,967 23 9,363 22 9,429 22
シャイアー 愛 10,886 24 6,100 27
第一三共    8,261 25 7,706 25 7,742 25

メルク 独
  7,588 26 7,697 26    
大塚  日  6,943 27 8,027 24 8,612 24
CSLベーリング 豪 6,651 28 5,733 28
エーザイ 日  4,634 29 4,343 29 4,263 29
セルヴィエ 仏   4,329 30 4,329 30    

この中でベーリンガー・インゲルハイムとセルヴィエは、それぞれ独仏で2位の企業だが決算未公開で、推定数値である。この2社を除くと、増収が23社、減収が5社。

1位と30位では10倍以上違い、メガファーマのBMSやリリーでもトップの半分以下だから、なかなか順位は変わらない。と言っても、ブロックバスターが出れば簡単に上昇するし、逆にそれらの特許が切れても簡単に転落する。

個々の会社を見ていくと

ファイザーは2014年、ノバルティスに首位を譲ったものの、ここ2年は首位を保つ。2016年はアラガン買収がとん挫したが、2位に60億ドルの差をつける。といってもブロックバスター1つ分である。

5位 サノフィの減収はプラビックスなどの特許切れ。

7位 ギリアドは1987年創業、99年のタミフル承認など、抗ウィルス薬でヒットを飛ばした。とくにC型肝炎治療薬ソバルディ、ハーボニーで、2013年から19位、9位、6位と躍進してきたが、病気が完治し患者が少なくなってしまい、7%減で7位に後退。

ジェネリック医薬品企業が伸びている。
12位 イスラエルのテバは、アラガンのジェネリック部門を買収して16%増。
23位 マイランもアボットのアメリカ以外でのジェネリック事業を買収した。

13位 BMSは、小野から導入したオプジーボが急伸。17%増でランクを一つ上げた。
14位 バイエルは、イグザレルト、アイリーアが伸びて19%増。
17位 武田と19位アステラスの差は少し縮まった。
18位 アラガンはボトックスが主力。2015年アクタビスに買収されたが、社名をアラガンに戻した。
21位 セル・ジーンはサリドマイド誘導体のレブラミド(多発性骨髄腫)20%増の6974百万ドルを売り、この増加がそのまま売り上げ増になった。
24位 シャイアーは1986年イギリスで設立されたが税金の安いアイルランドに本社を移した。希少疾患の開発企業を買収して成長し、2016年、米バクスターのスピンオフ、血友病医薬品企業バクスアルタを買収して前年比78%の大幅増収。
27位 大塚は、統合失調症治療薬エビリファイの特許切れで減収が続く。

30位で4329百万ドルなら、中外、田辺三菱はもうすぐである。
ブロックバスターは大きい。レブラミド一つで大塚の全医薬品売り上げを超える。アッヴィのヒュミラは16,078百万ドル、武田1社を超えてしまう。製薬企業ランキングはブロックバスターと合併がもろに効く。

20170501 医薬品売上高ランキング2017年




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